アイテム図鑑さんでいろいろとアイテムのデザインをさせていただいている中で、一度試してみたかった今まで描いたアイテムを対比をつけて部屋に置いてみた図。
(んー、巨大化した人の空間の感覚をイメージするのは難しいなー)
松井いつかはFEGにある星見の喫茶店と呼ばれるの建物の二階にある自室に籠もっていた。製図台の乗った机の前で図面とにらめっこ。
視線の先をを見てみると、どうやら射出便利舎のプレハブの設計をしているらしい。普通、設計図と言うと直線と曲線でごくごくシンプルに作られる物だが殴り書きのメモ書きだらけ。紙さえも横着なのかこだわりなのか、方眼紙ではなく使い慣れた印刷デザイン用レイアウト用紙。そんな中でも読み取れるのは紙の隅っこに赤い色鉛筆で花丸で囲まれた「由緒正しいモルタル二階建て風」の文字。今回のコンセプトらしい。
もちろん実際のところの素材はFEGで開発されたハイテクの粋をきわめた軽くて丈夫な新型の合成素材諸々なのだが、あくまで外見は「工事現場とかに立ってそうな、いわゆる普通のプレハブ小屋の事務所」にこだわる。ちなみにこのことには特に意味はなく、ただ「立派な高層ビルの上にぽつねんとプレハブ小屋があったらおもしろいよね」というだけのことである。
しかし、ものをつくるのはこの感覚が大事なんじゃないかと彼女は言う。
アイテムならそのものは、どんなところで使うのか、高いところによじ登るなら当然持ち歩きやすく軽くて取り出しやすいのがいい、どんな人が使うのか。巨大サイボーグなら、きっとある程度しっかりしたものでないと握りにくい、厚みも必要。色は見やすい原色で色数を落として明暗で強弱を表現。目がちらつかないようにいろんな角度から見て確認を繰り返す。そして加工をするときの事をイメージして、ルールに則り設計を行う。そして会議で決まった今回のコンセプト。見るからに楽しそうに、外の国の人に警戒心を与えちゃいけない、侵略のためのものではないんだから。ただ空を飛ぶための「夢」、お祭り好きの国民が喜ぶように。そして戦い続きで心が摩耗したスタッフみんなに作る楽しさを感じさせるものを。ちょっと頭が悪いくらいなのが丁度いい。
この国に入国して1年。いろんなものを作った。アイドレス・アイテム・施設に藩国の地図。絵を描くのはいつもだけど、文章を書くこともあった。ウエディングドレスを作ったり、いろいろ楽しい思いをさせてもらった。ものを作るのは楽しい。だから技術が無くてもとにかく工夫し考えしかし時間は掛けすぎず、無駄なく合理的かつ能率的に。その機会を与えてくれる人たちに感謝の気持ちをこめてそのときの全力を以ってものをつくる。
森の中になじませるために石と木でつくったISS、エレベーターは病人をゆらさないように理力で動く。なぜか最上階に露天風呂がついてる宰相府はとにかく気になる秘密が一杯で。地下鉄は小手先の技術は廃してとにかくお年寄りや体の不自由な人に不自由なく使って貰えるように。SHCの家はとにかく生活導線にこだわった。
この家も自分で設計した。ワンフロアの居住スペースはちょっと狭いけどまわりに物を置くと自分の作った物に囲まれてるみたいで心地よい。隙間無く詰まっているのがいいのだ。
伴侶である松井総一郎はこう言う。「お前が選ぶもの以外を身につけたくはない」
そういう訳で嫌というほど私の作った物で埋め尽くしてやろうと思った。この部屋みたいに。
だからなんでもつくる。服でも建物でも平和でも。
さて次は、なにを作ろうか。
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