| 概要 | 展開軍の出撃 | SS | 総括 |

 

L:緊急投擲展開軍 = {
  t:名称 = 緊急投擲展開軍(職業)
  t:要点 = おじい前,並ぶ,戦士達
  t:周辺環境 = FEG
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ウォードレスダンサー(職業)
t:要点 = 表情が欠落した顔,ウォードレスコネクタ(首筋の6個穴)
t:周辺環境 = ウォードレス
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舞踏体(職業)
  t:要点 = しなやかな身体,舞,変な立ちポーズ
  t:周辺環境 = 暗闇
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高位西国人 が単独で通過しておりますので
こちらの要点を引き継ぎます。
〔高位西国人 + 舞踏体 + ウォードレスダンサー + 緊急投擲展開軍〕

T.概要

●緊急投擲展開軍とは何か 

緊急投擲展開軍――正式名称を「緊急時限定投擲部隊・コードユプシロン(Emergency LImited Throwing E−force)」と名付けられた組織は、その頭文字から取って通称「ELITE」と呼ばれる。
  共和の精神をFEGのやり方で表そう、と、共和国大統領を兼任する藩王・是空とおるの肝いりで結成された最精鋭部隊である。
  いつでも、どこでも展開出来る精鋭部隊……そんな夢のような存在を実現させたのは、隠せようはずもないFEGの新組織・射出便利舎、ひいては投擲という技術である。しかしその影には多くの物語が隠されていた。

 

●その道のり

射出便利舎の成立で、様々なものが投擲出来るようになったが、

当初のところその荷物といえばどんなに高くから落ちても問題のない舞踏体ぐらいであった。

しかし、それだけでは射出便利舎の名が泣く。何かもっと人々の歓ぶものを投げられないだろうか。

会議室に居並ぶ人々の中で、誰かが言った。

「舞踏体は飛び降りるプロだが、投げられるプロじゃない。もっと投擲によって降下することを身につけた、より機能的な部隊を造ってはどうか」……しかしそれで人は歓ぶのだろうか? その問いかけにその誰かは黙り込んでしまった。

「大変な状況になっている国へ、医師や物資を投げられないものだろうか?」

……人は歓ぶだろうが、物資はともかく投げられても大丈夫な医師なんかいるだろうか?

その問いかけに、その誰かも黙り込んでしまった。

「……ならば、医師が必要なくなるように、平和を守る者を投げるのがいい。一擲にして悲憤を平らげる精兵を」

その言葉に皆は深くうなずいた。

尚武の国たるFEGに出来る事は、まず、世に惑う人を無くす事。些か傲慢な思考だが、我ら自身の努力によりそれを担うことができるはず。と、彼らは信じていた。


●精鋭部隊誕生

決まってしまえば実行は早いのがFEGの長所の一つである。
  翌朝付けで辞令が国中の部隊を行き交い、歩兵部隊の精鋭が結集。投擲に関する専門的な訓練を受けることとなった。
  射出便利舎からも、コントロールに長けた幾人かの投擲作業員――その中には七色の魔球で有名な「おじい」も含まれていた――も出向し、投擲による緊急展開の訓練を受けた。

  緊急展開とは、その名の通り、緊急時に即座に展開し、軍事行動を始められる、ということだ。
  投擲による展開は移動時間をはるかに短縮でき、そして出撃地点を選ばないという利点を持っている。しかし、部隊指揮にかり出された将校達は、さらに一手の不足を感じていた。
  そして、その一手を満たすために緊急投擲展開軍が導き出した答えは、実に単純にして明快であった。
  すなわち「集合」の高速化である。


● Hurry! Hurry! Hurry!(早く! 早く! 早く! )

緊急事態が発生したら、歩兵は何をするだろうか。
  装備を準備して、集合場所に集まり、車両や航空機に分乗して現地に向かう。この一連のシークエンスが通常の歩兵には必要であり、実戦闘以外で一番時間がかかる処だ。
  つまり、その現場にかけつけるまでにかかる時間は「移動」と「集合」に大別される。

  緊急事態が発生した時、集合に時間がかかるほど投擲(=移動)までのタイムラグは長くなる。
  また、投げられた後も、集合に時間をかけていれば各個撃破の憂き目を見る。

  しかし。
  投擲前の集合が早ければ、移動時間の短縮は最大限効果を発揮し、敵よりも早く目標を確保出来る。
  投擲後の集合が早ければ、敵の攻撃を受ける前に攻撃姿勢を整えることが出来る。
  集合を高速化することでこの欠点は限りなくゼロに近づくのだ。

 

●そして世界へ。

さらに、この「集合」の高速化は思わぬ利点をも生み出した。

  一つは装備と人員の選択をする余裕が出来たこと。
  出撃に際して、例えば災害なら救難用の装備を持ち、例えば軍事行動なら敵に合わせた武装を持つ。
  そして、近い将来、投擲を受けられる医師や整備士が現れることを視野に入れ、必要とあらば彼らを最適地に送り届けることも可能となったのだ。

  そしてもう一つは、現地軍との連携を密に取る事が出来るようになったこと。これにより、現地での作戦行動にアドバンテージを得るだけでなく、共同での作戦展開が容易になったのである。

  すなわち。
  緊急投擲展開軍とは、ただの職業ではなく、戦場を駆け回っていた歩兵を、空という新たな地平を介してさらに有効に動かすためのシステム全体を指す言葉なのである。

文: 古河切夏

2009 FEG

 

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